瓦屋根のメンテナンス

瓦の起源ははっきりとしていませんが、紀元前900年頃の中国の周時代には屋根の瓦として使用されていたことがわかっているほど、歴史があります。日本には588年に朝鮮半島から瓦づくりの技術者によって伝えられたとされ、仏教の普及とともに瓦の利用も増えていきました。

平安時代になると瓦の使用は減少しましたが、鎌倉時代になると寺の建立や修造が増えたことで再び瓦の使用が増えていきます。この頃は瓦というのもは寺院や城に使用されていましたが、桃山時代から江戸時代中期頃には一般家屋への瓦屋根の普及も一気に進められるようになりました。

江戸時代には一国一城令が発令されたため、築城されなくなり瓦も減少していきます。また火災が発生した際、重い瓦が落ちてくるのが危険だという理由もあり、瓦葺きが禁止されてしまいます。

明治時代になると、フランス人のアルフレッド・ジェラールがフランス瓦を製造開始し、洋風建築用として初めて洋瓦が製造されることになります。

小江戸

 

日本瓦は重厚感のある見た目と高い耐久性から古くから愛されてきた屋根材です。瓦には大きく分けると粘土で作られた粘土瓦と、セメントで作られたセメント瓦があります。

一般的に日本瓦というのは粘土瓦を指し、耐用年数は50年以上となっていますから、耐用年数が30~40年程度のセメント瓦に比べると耐久性が高く、しっかりとメンテナンスを行えば100年以上持つとも言われています。日本瓦は表面の処理の方法によって釉薬瓦やいぶし瓦などがあります。

釉薬瓦は瓦にうわ薬を塗って窯で焼き上げた瓦で、瓦の表面をガラス質に加工することができますから水が浸透しにくく豊富なカラーバリエーションが特徴となっています。近年は洋風の住宅にも使用されることが少なくありません。

一方いぶし瓦はなにも塗らずに窯で焼きあげた瓦で、渋い銀色が特徴となっています。釉薬が塗っていない分水が浸透しやすく劣化しやすいというデメリットもありますが、風格のある見た目から神社仏閣や日本家屋に利用されている瓦です。

 

住宅というのは毎日劣化が進んでいますが、外壁などは目視できる部分ですから劣化に気づきやすく、10年以上建てば塗り替えるという家庭も少なくありません。

ただ屋根はなかなか目視できる部分ではないため、長年メンテナンスを行わないという人も少なくありません。ただ住宅も体と同じで早期に劣化した部分を発見し迅速にケアしてあげれば大事に至ることもありませんし、結果的にコストを押さえることにつながります。

ただ気をつけないといけないことは、素人が屋根に登るのは大変危険ですから、業者に依頼するようにしましょう。

もし屋根の頂上部分が見えるのであれば、ゆがみがなくまっすぐかどうかをチェックしてみましょう。ゆがみがある場合は要注意で、徐々にゆがみが大きくなっていき最悪の場合崩れてしまう可能性がありますから早期にメンテナンスを行うことが大切です。

 

瓦は屋根材の中でも耐久性が高く、多くの住宅で使用されています。基本的には50年以上もつといわれていますが、そのためには定期的にメンテナンスを行う必要があります。あまりメンテナンスにお金をかけたくないという場合には、自分で瓦屋根をメンテナンスすることも可能です。

瓦に割れがあれば、防水テープを貼ることでひびをカバーすることができますし、割れた瓦にパテを充填することで雨水の浸入をくい止めることができます。

また手軽に修理をしたいのであれば、割れた瓦を新しいものに交換する方法もあります。基本的に瓦は釘で固定されていませんから、自分でも動かして交換することができます。ただ同じような瓦がない場合は、防止テープやパテで補修した方がよいでしょう。

ただ気をつけないといけないことは、修理をする際瓦を踏んで新たに割ってしまったり、転落してしまうリスクも伴いますから、できれば瓦屋根の修理はプロの業者に依頼することをおすすめします。

日本瓦は塗装の必要はありませんが、瓦が割れたりずれると雨漏りを引き起こす原因となります。瓦が部分的に割れていたりひびが入っている場合には、その部分だけ瓦を交換して修理していきます。その際瓦の下の野地板やルーフィングが傷んでいる場合には、同時に修理をおこなうことで、雨漏りを防ぐことができます。

屋根全体を葺き替える場合は、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に葺き替えていきます。

瓦屋根は地震や台風によって飛んでしまったりずれることがあるため、ずれ防止としてシーリング材を用いて瓦自体を固定する必要があります。

ラバーロック工法は瓦と瓦をシーリング材で接着して補強していく工法で、雨漏りの原因となる瓦屋根の隙間を補修し、地震や台風によって瓦がずれるのを防ぐことができます。特に自然災害が多い地域に住んでいる場合には、瓦のずれや飛来を予防することができますからラバーロック工法は有効といえますが、見た目が悪くなるなどのデメリットもあります。

どうしても瓦の落下が気になるという場合には、金属屋根などに葺き替えることをおすすめします。